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小説「孤宿の人」

孫の買い物に付き合って本屋に行った際、ふと目に入った本を衝動買いしてしまった。
「本の雑誌が選ぶ時代小説部門第一位」と帯に書いてあり、感涙の傑作とあった。
宮部みゆきの本だ。上下巻ある。
読んでみようかなと思って手に取った。
あれ、瀬戸内海に面した讃岐の国丸海藩と書いてある。
興味と親近感が湧いてきた。

宮部みゆきといえば、ちょうど朝日新聞に連載中の小説「荒神」も毎回読んでいる。
新聞小説を読むのは初めての経験、これまでそんなに読みたいと思ったものがなかったが、今回は宮部みゆきの名前と可愛い挿絵に惹かれてしまった。
人気作家の書き下ろしだから、そのうち単行本になってベストセラーにでもなるかもなどと密かに思ったりしている。

さて今回買った本のタイトルは「孤宿の人」という。
「こしゅく」なんて言葉はあるのだろうか?
疑問に思ったものの読んでしまった今は、これほどふさわしいタイトルはないくらいに思えてくる。
幼い主人公ほうが慕う、お嬢様琴江が毒殺されて物語が始まる。
金毘羅参りの船が着く港があり、豊かな海の幸と肥沃な土壌に恵まれた、人も里も穏やかな讃岐丸海藩(まるみはん)は、作者が作り上げた架空の藩なのだけど、実在した藩であったように細かいところまで生き生きと描かれている。
その丸海藩が、幕府から重要な流人のお預かりという任務を申し付かった。
流人は幕府の元勘定奉行という高官であり、妻子や家来何人も切り殺した鬼のような男だという噂だったが、町民たちはドンドン話を煽って、流人は人ではない悪霊だ・・・などという話が伝わっていく。
だが肝心の流人はなかなか登場しない・・・。
我々読者も、その加賀様と呼ばれる流人はどんな人だろうかと想像が膨らむ。
やがて涸滝(かれたき)と呼ばれるお屋敷の奥深くに幽閉されたその人には、誰も会うことができないのだったが・・・。
一方天涯孤独で、丸海藩に置き去りにされた無学で無教養の9歳の少女ほうは、心やさしい人たちに出会って人間らしい生き方を教わっていた。
匙と呼ばれる医家の井上家に奉公して幸せをつかみかけていたのに、加賀様と巡り合う運命がほうを待っていたのだった・・・。

11代将軍家斉の時代であった。
真実を隠匿することに抵抗しながら、幼いほうの身を案じ続けた女宇佐
迷いながらも直情的な武士の生き様を見せた男渡部一馬
全てを胸に収めて感情を殺し理性に生きようとした男井上啓一郎
そして与えられた運命をけなげに生きた少女ほうと、
身分の違いを超えて彼女を導き生かし、天命に準じた加賀様と呼ばれた男・・・。
彼らがそれぞれ真実を胸に秘めなければならなかったように、読みながら何かに圧迫されるような重苦しい感情に包まれそうになる。
そして読み終わった時、解放されたような思いと共に、ジワーッと涙が湧いて来た。

何気なく手に取った本だけど面白かった。
宮部みゆきの文章はほうのいじらしい気持ちも宇佐の不安な気持ちも素晴らしい表現で描きだし、本に赤線を引きたい衝動にかられた(昔からいい文章を読むと本に線を引く癖があるのだ)。
でも本を痛めるからもう我慢している。
丸海藩は最初に感じたとおり、讃岐丸亀藩を参考にしていると作者は後書きに書いている。
わざわざ丸亀まで足を伸ばして取材したそうだ。
それもあって親しみを感じる。
時代小説ってやっぱりいいなあ・・・。
そして映画化してほしいなあ・・・・。

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映画「永遠のゼロ」

元日は妹がきて一緒に実家に行ったのだけど、2日は息子が帰ってこなかったせいで、ポッカリとすることが無くなってしまった。
じゃあ年末に行けなかった映画に行こうと思い立った。
正月2日に映画に行くなんて初めてのことだ。
ビブレのシネコンもあと2カ月で閉館となる。
ホント、寂しいよねえ・・・。

「永遠のゼロ」が見たかった。
原作はとても面白かったが、どんな映画に仕上がったのだろうか。
特に当時最高の能力を持っていた零戦についての細やかな描写を思い返すと、戦争という背景を別にすれば日本人としての誇りを感じずにはいられない。
衝撃の真実がラストに待っているストーリーも面白いけれど、全て零戦の魅力抜きでは語れない。
「永遠のゼロ」という題名も何とも意味深でいい・・・。
テレビで拝見した作者の百田尚樹氏は、はげ頭のおもしろいおっちゃんというイメージなんだけど、この処女作が大ベストセラーとなったあと、話題作を次々と発表している。
年中には何冊か読んでみたいと思っているんだけどなあ・・・。

原作を超える映画にはなかなか出会えないのだけど、この映画は原作に忠実でしかもわかりやすかった。
ジャニーズ好きの私だけど、実は主演のV6岡田准一はあんまり好きではなかった。
でもこの映画でファンになってしまった。岡田君、好演でとても男らしかった。
岡田君と共に印象に残ったのは夏八木勲だった。
真実を知りたいと願う孫を前に、「実は・・・」と重い口を開く男だった。
彼はこの作品の後亡くなったのだけど、多分この撮影中は体調も万全ではなかったのではないだろうか?
病のせいか若いころより痩せてしまっていたが重厚で貫禄があり、年をとっても魅力的な数少ない俳優の一人で、まだまだいろんな映画・ドラマで見たかった人だ。

この映画の戦争シーンはほとんどがCGだったと聞いているが、CGを使えばどんなことでもできる時代なんだねえ・・・。でもそれで面白い映画は出来るかもしれないけど、そう思って見てしまうから軽い感じがするのは否めない気がする。
生きて帰る・・・が口癖だった主人公が、自ら特攻を志願したその思いは、本を読んだ時はあまりわからなかったが、映画を見てなぜかわかったような気がした。
あまりにも多くの戦友・教え子を失った主人公は、彼らへの鎮魂の思いで自らの固い決意を翻したのではないだろうか?自分の意思を貫くことに耐えられなくなったのだ。
そして本来なら助かるべく強運の持ち主だったのに、その運を自分が選んだ若者に譲り、愛する家族をその彼に託さざるを得なかったのだ。
自らの命は国に捧げ、魂は生きて妻子の元に帰る・・・。そういう帰り方もあるんだ・・・。

私自身も戦後生まれで、戦争を知っているとは言えない。
そして現代っ子達は、おそらく我々の世代よりはもっと戦争を理解していないと思う。
本編中にも特攻を揶揄する若者が描かれていたが、戦争末期に軍の上層部によって考え出された特攻が、不特定多数を狙うテロと同じはずがない。全ては戦争中の出来事だったのだ。
人の命を奪うということが当たり前で、やらなければやられる世界なんだから・・・。
勝利に結びつかなかったとしても彼らの死が無意味なわけがない。

命をかける戦争は断固拒否だけれど、子供たちに愛国心は失って欲しくないと心から願う。
それにしてもこの映画は評判どおりでやはり泣けた。
正月といえど相変わらず3割入りくらいのガラガラ度なんだけど、あちこちで鼻をすする音やかすかな嗚咽も聞こえた。
映画館って泣くのが恥ずかしい雰囲気がある。
涙をこらえてハンカチで抑えていた私は、エンドロールが終わる間際に席を立った。
本当はもう少し余韻に浸っていたかったのだけど、家でビデオを見ているわけじゃないから泣き顔を見られるのもねえ・・・。

帰れなかった二男

四日市に赴任している息子が正月に帰省しなかった。
暮れに電話した時は、31日か1日には帰る・・・と言っていたのに、1日の午後になっても音沙汰がない。
運転中だといけないと思って、いつ頃帰るの?とメールを入れた。
そうしたら夕方に電話がかかって来た。

「もう着いた?」
「いや、帰ってない・・・。」
「エーッ、どうしたの?」

38度くらいの熱があってインフルエンザかもしれないので、帰るのをやめたという。
そのくらいの熱と思うけれど、長距離を車で帰って来るのだから、無理にとも言えない。
去年の正月以来お盆にも帰らなかった息子だ。
だんだん足が遠のくのもわかるけれど、年に一度くらい帰ってこないと、母親としては兄弟間が疎遠になるのが不安になる。
超健康で、病気知らずの頑丈な身体の息子だったのだけど、一応電話でうるさく注意しつつ、正月早々寝込んでいるかもしれないと思うと、すぐに飛んで行けない距離にへこむ。

いつまでも結婚しない独身男は、いったいどんな生活をしているのだろうか?
そして息子のためにたくさん買い込んだ食料はどうするの・・・?
明日二人の息子一家が来るものの、一番の大食漢が二男だったもの・・・。
孫たちとついたお餅や、なにがしかの熱い鍋を作って食べさせたい思いが募る・・・。
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