FC2ブログ

お順・勝海舟の妹と5人の男

お順の絶叫が聞こえた・・。
多分多くの読者も、私と同じように絶叫したいのをこらえたのではないだろうか?
5歳の時から一筋に想い続けた人との別れの瞬間だった・・・。

快活明朗、向学心旺盛な勝麟太郎が、迫る幕末の足音を感じながら剣術や蘭学に励んでいた18歳の頃からこの本は始まる。
お順は麟太郎の13歳年下の妹だった。
父親小吉の放蕩ゆえすでに麟太郎が家督をついでいるが、直参とはいえ無役のため勝家の家計は火の車である。
ことあるたびに小吉の実家である男谷(おだに)家に泣きつき、何とかその日をしのぐ暮らしであった。
その男谷家の当主である小吉の兄が亡くなり、一家で弔問に訪れた先でお順は虎之助と出会うのだ。
眼光鋭く仁王のような大男が、裂帛(れっぱく)の気合と共に刀を振り下ろす瞬間をお順は見てしまった・・・とある。
5歳の少女はその堂々たる風格に眼を奪われ、心も奪われたのであった。

男は島田虎之助、剣客で麟太郎を始め多くの剣士が憧れる存在であった。
剣の道に精進し男谷道場で免許皆伝となり、その後多くの門弟を抱える道場主ともなる。
だが武骨で女心などはわかるはずない男であった。
しかも二人が初めて出逢ったとき虎之助はすでに27歳、二人の年の差は22歳である・・・。
虎之助にとってはその時見たお順は気の強い童女にしか過ぎなかったのだろうが、お順はそのとき彼に抗いがたい宿命を感じた・・と作者は書いている。

小吉の出自など勝家の相関関係は非常に興味深いものがあった。
まだ麟太郎と呼ばれた若き日の勝海舟は、自由奔放な父親に辟易しながらも、そんな父の苦悶も悲哀も知っていたので、父を敬う姿勢を変えず、母を気遣い幼い妹二人を可愛がった。
男谷家の庇護を受けながも貧しい小吉一家は、これまた貧乏旗本の岡野家内の借家に住んでいる・・・。
旗本の岡野家?? どこかで聞いたよ・・・。
そうだそうだ、「あくじゃれ瓢六」で瓢六が生きる希望を失って逼塞するのが岡野家だった。
岡野家の当主も奥方もろくでもない人物に描かれていたが、この本でも当主孫一郎の道楽ぶりは相変わらずだ。
窮乏を極める勝家にもただ一人の用人がいて、その名が六兵衛とは作者の何かユーモアを感じてしまった。
瓢六の本名なんだもの・・。
ただこの六兵衛は若くイケメンの瓢六と違ってお年寄りだけどねえ。
そういえば「あくじゃれ瓢六」でも勝麟太郎はカッコよく描かれていたっけ・・。

17歳になったお順が近づく嫁入りの日をウキウキと考えていたある日、虎之助が突然の心臓発作で倒れそのまま亡くなってしまう。
それが冒頭のお順の絶叫になるのだが、5歳のころから恋とも思わずにあこがれ続けた虎之助のあっけない死は、お順に深い悲しみを与えるが母や兄夫婦の計らいもあり、悲嘆にくれるお順の前にはもう新しい男の姿が見えて来る・・・。
諸田玲子著「お順・勝海舟の妹と5人の男」がこの本の題名で、その上編である。
まだ全部読んでないのでわからないが、5人の中に父小吉と兄麟太郎、そしてこの虎之助が入るとしてまだあと二人誰かが登場するのか・・・
どうなるのだろう・・・。
フィクションではないので知る人ぞ知ることなのかもしれない。
お順はどんな人生を送るのだろう・・・。
これを読み終えて早く下編を借りなくては・・・。
スポンサーサイト
プロフィール

chiruko

Author:chiruko
FC2ブログへようこそ!

カレンダー
10 | 2018/11 | 12
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
最新記事
最新コメント
ペンギンジャンプ
今日の誕生石
カテゴリ
月別アーカイブ
最新トラックバック
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR