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お順・勝海舟の妹と5人の男 下編

勝麟太郎に魅了された本だった。
これまでどちらかというと、幕末の出来事では改革派の薩摩・長州・土佐の浪士たちの逸話が多く取り上げられてきたように思う。
彼らは個々に時代を見据え、命を落とすことを恐れず改革に突き進んでいった。
それに比べ守りを強いられた幕閣は悲壮感が漂う。
それはそうだ、会津藩・新撰組などの悲劇、倒幕により主君を失った多くの武士たちの辛苦ははかりしれない。
そんな中にあって幕臣でありながら改革派の浪士たちと交流し、同じように新しい時代を夢見ながら常に心は徳川家の安寧にあった、勝麟太郎の揺るぎない気持ちに心を打たれた。
私には勝麟太郎、いや勝海舟といえば江戸城の無血開城、咸臨丸などのとぎれとぎれの知識しかなかったが、終生麟太郎の庇護下にあったお順を始め家族たちの心強さはどんなものだっただろう・・・。

兄を慕い心から信頼していながらお順はこう思ったとある。
明朗で多弁で人たらし、怖いもの知らずで傍若無人に見えながら、本当は兄ほど小心で用心深い男はいない・・・。
そしてそんな兄は自分とは正反対だと・・。
お順には兄の我慢強さや小賢しさがじれったい。
そんな兄にはない圧倒的な力と一途なまなざし、無私の心を持った男を求めた。
それが島田虎之助であり、佐久間象山であったと・・・。

虎之助に恋してその恋はかなわなかったが、虎之助を思い続けた順の一生だった。
得るものがあった象山との婚姻はまだしも、虎之助の身代わりのように思い込んだ村上俊五郎とのかりそめの恋・・・。
俊五郎の中に虎之助の姿を求め、並みの女のようにすべてが見えなくなったお順は堕ちた・・・と思った。
順の自信と気位はどこに行ったのか・・・。
思えば幼いころから武士とはいえ極貧の生活だったが、兄妹とも直参の誇りを失わず強く生きて来た人生だった。
例えれば麟太郎は柔、お順は剛の生き方であったかもしれない・・・。
出世の道を閉ざされたまま亡くなった父親小吉に比べれば、窮乏生活の中でも幕臣の誇りと夢を失わず、しかし時節を読み辛抱し己の信じる道を貫き通した麟太郎は、人に好かれるべくして好かれ、日本の重要人物に成るべくして成っていったのだろう・・・。

麟太郎もお順も当時としてはずいぶん長生きしている。
何歳まで生きたかは知らないが、この小説の最後で麟太郎が76歳で登場してくる。
麟太郎より13歳年下が妹お順である。
何歳まで生きたのだろう・・・。
知らないことばかりだったけど勝麟太郎の魅力にどっぷりはまってしまった。
強く見えながらも女のもろさもみせたお順も、こののち平穏な人生を送ったのだろうか。

最後に好きだった文節を書いておこう。
志半ばで死んでゆく者と表舞台に躍り出た者は、同じように国の行く末を憂える男たちだった。
誰もが一本道を全力で駆けているように見えた・・・。

誰もが新しい波に飲み込まれそうな国に不安を持ち、誰もがより良くなるように考えていたのだ。
勝麟太郎の本を読みたくなった・・・。
ああ幕末は本当に面白い!





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